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1型糖尿病

当院では1型糖尿病の治療に糖尿病専門医として積極的に取り組んでいます。通院中の病院と連携を取りながら治療を行ったり、また通院が困難になってきた場合はご相談ください。

1型糖尿病について解説いたします。自分自身の免疫が膵臓にあるインスリンを分泌するβ(ベータ)細胞を破壊しインスリンが出なくなるため高血糖(血糖が常時正常範囲の倍以上)となり、糖尿病を発症します。生活習慣病の要因が強い2型糖尿病とは全く異なる性質の糖尿病で、β細胞が破壊されるためインスリン注射がほとんど全員の方に必須となります。また、様々な自己抗体が陽性になります。代表的なものは抗GAD抗体、抗IA-2抗体、抗インスリン抗体を測定すると陽性であり、近年抗ZnT8抗体なども保険収載されました。

患者さんはどのくらいいるのか?

発症には地域差があることが知られており、北欧諸国に多く見られます。日本での小児1型糖尿病の年齢調整発症率(/10万人)は1.4~2.2人とされ、北欧はその10〜20倍以上とされます。もともと若い人(小児)に多い病気ですが、大人になっても発症する事があります。この場合は急激な発症の場合では無く、インスリンも少ないながら体から分泌されており、年単位で緩やかに発症するケースがある事も知られています。

原因は?

原因はまだ不明な点もありますが、約90%が自己免疫性(1A型)、残り10%が特発性(1B型、原因不明)とされています。上記の通り自己免疫が自分自身を攻撃する事が原因のため、他の免疫異常の疾患(バセドウ病や橋本病)を併発する事もあります。また、発症とウイルス感染の関連を示唆する報告が数多くされています。主なものとしてはエンテロウイルス、ムンプス、麻疹、サイトメガロウイルス、レトロウイルスなどです。新型コロナ感染が関与するかは現在調査されています。近年の情報ではロタウイルスのワクチンを接種したことで、1型糖尿病の発症が減ったという報告もあり、一部のウイルス感染の関与は強いとされます。2型糖尿病とは異なり、生活習慣は発症に無関係とされます。

遺伝するのか?

通常は遺伝しません。近年の報告では一部関与があるとされますが、2型糖尿病の方が遺伝的な関与は高いとされます。

症状は?

糖尿病の典型的な症状といわれる口渇(口が乾く)、多飲(冷たい水を含めて一日3L以上の水分摂取)、多尿(1-2時間ごとに尿に行く)、体重減少がよくある症状です。インスリンが分泌されないと、血糖の上昇に伴い尿に糖分が排出され、尿が増え脱水になります。また、インスリンの不足はエネルギーを細胞内に引き込み出来なくなり、細胞がエネルギー不足になり痩せていきます。さらに、インスリンが全くなくなった状態ではケトン体という酸性物質が産生され、ケトーシスやケトアシドーシスという危機的状態となり、昏睡や死に至るケースもあります。前年の健診までは血糖値の上昇は指摘されなかったといわれる患者さんがほとんどです。また、風邪症状など先行感染を伴う場合がよくあります。

治療法は?

前述の通り、ほとんどの場合、1型糖尿病の患者さんはインスリン療法が必須です。インスリンは今でこそ、糖尿病治療の最終手段のようなイメージがありますが、現在では開発が進み、遺伝子を組み替えたインスリンを使い分けて注射することで、血糖を正常に近付けることが可能です。当院ではインスリン複数回注射だけで無く、インスリン・ポンプを用いて、より安定した血糖コントロールが出来ることもあります。また、フリースタイルリブレなど簡便な血糖測定器を用いる事で負担も軽減します。

インスリン以外では、αグルコシダーゼ阻害薬は食後過血糖がある場合、1型糖尿病患者さんにも投与が可能です。また、最近、SGLT2阻害薬のうちスーグラとフォシーガが1型糖尿病にも投薬可能となり治療の幅が広がりました。しかし、血糖降下作用はインスリンに比較すると弱く、治療の主役はあくまでインスリン注射であるとご理解下さい。

経過は?

インスリン投与により、血糖をコントロールすれば、合併症なく糖尿病ではない人と同じような生活が出来ます。合併症については、目の合併症(糖尿病網膜症)で失明したり、腎臓の合併症(糖尿病腎症)で透析になったり、神経の合併症(糖尿病神経障害)で足を切断する可能性もあります。インスリンの自己中断は1型糖尿病では死につながる事もありえます。当院では患者様にとってより良い治療が受けられるように、インスリンの投与タイミングなどを相談しながら治療にあたってまいります。是非、ご相談下さい。

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