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副甲状腺機能亢進症

概要

副甲状腺機能亢進症という聞きなれない病気ですが、副甲状腺ホルモンが過剰に出てしまう病気です。「副」甲状腺という名前から誤解を生みがちですが、甲状腺ホルモンとは異なるホルモンになり、「カルシウムやリンにかかわるホルモン」です。甲状腺の後ろにあるため「副」甲状腺と名付けられて、米粒ほどの大きさです。

副甲状腺機能亢進症には2つのタイプがあります。

原発性副甲状腺機能亢進症では、1つまたは複数の副甲状腺の肥大が副甲状腺ホルモンの過剰産生を引き起こします。これは血中のカルシウムが高くなり、リンが低下し、健康上の問題を引き起こす可能性があります。手術は原発性副甲状腺機能亢進症の最も一般的な治療法となりますが薬物療法も選ばれることもあります。

続発性副甲状腺機能亢進症は、最初に体内で低カルシウムレベルを引き起こす別の疾患が原因で発生します。代表的な病気は腎機能低下に伴うもので、血液透析の患者によく見られます。

 

今回は原発性副甲状腺機能亢進症についてお伝えします。

 

症状

原発性副甲状腺機能亢進症は、兆候や症状が発生する前に診断されることがよくあります。これは通常、定期的な血液検査でカルシウムの上昇が見られるためです。症状は非常に軽度で非特異的つまり特徴的なものが存在しないため、副甲状腺機能に関連していないように見える場合もあり、時に重度である場合もあります。徴候と症状の範囲は次のとおりです。

  • 折れやすい骨が弱い(骨粗鬆症)
  • 腎臓結石
  • 頻尿
  • 胃(腹部)の痛み
  • 疲れやすい、または脱力感
  • うつ病または物忘れ
  • 骨と関節の痛み
  • 明確な原因のない病気の頻繁な苦情
  • 吐き気、嘔吐、食欲不振

     

原因

原発性副甲状腺機能亢進症の原因には、副甲状腺の腺腫、過形成、がんがあります。このうち8割以上は良性の腺腫で、この場合は4つある副甲状腺のうち一つだけが腫大します。過形成は4つの副甲状腺のすべてが異常になるもので、多発性内分泌腺腫症(MEN1型)という遺伝的な病気に合併して起こることがほとんどです。副甲状腺以外に、腫瘍が見られた場合には、MENの遺伝子検査を勧めますのでご紹介させていただきます。なお、がんは稀ですが、副甲状腺が大きく腫大したり、手術をしてもカルシウムの値が下がりにくく、また局在もはっきりしないこともあり診断に難渋することもあります。

 

治療

原発性副甲状腺機能亢進症での治療の原則は、腫大した副甲状腺を摘除する手術をする病院を紹介します。手術に対しては適応などを慎重に決める必要がありますので、現在の年齢・腎臓の機能・骨粗しょう症の有無・カルシウムの値などを複合して決めていきます。腺腫の場合には、通常ひとつの腺だけの異常なのでこれを摘出します。過形成の場合には、4腺すべてが腫れているので、1腺の前腕筋肉内へ移植し他を摘出します。

手術を行わない場合には、カルシウム値、腎臓、骨粗鬆症の状態などの経過をみながら、薬物治療が近年進歩しています。レグパラという薬をはじめいくつかの薬が使用でき、以前に比べてカルシウムの管理はできるようになってきました。

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