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バセドウ病

バセドウ病とは?

バセドウ病は、甲状腺ホルモンの過剰産生(甲状腺機能亢進症)を引き起こす自己免疫系の障害であり、甲状腺機能亢進症の最も多い原因です。甲状腺ホルモンは体のシステム特に新陳代謝に影響を与えるため、バセドウ病の兆候や症状は多岐にわたります。バセドウ病は、女性や40歳未満の人が好発年齢とされます。治療目標は、甲状腺ホルモンの量を減らし、症状を軽減することです。

バセドウ病の症状は?

バセドウ病の一般的な症状は次のとおりです。

  • 不安や神経過敏
  • 手や指の細かい震え(文字を書くときに震えます)
  • 暑がり
  • 汗が多く湿った肌の増加
  • 通常の食生活もしくは過食にもかかわらず、体重が減少
  • 甲状腺の肥大(甲状腺腫)
  • 月経周期の変化
  • 勃起不全または性欲減退
  • 頻繁な排便もしくは下痢
  • 眼球突出(バセドウ眼症)
  • 疲労
  • 通常、すねや足のてっぺんに厚くて赤い皮膚(皮膚症)
  • 動悸
  • 睡眠障害

バセドウ眼症

バセドウ病患者の約10~30%は、バセドウ眼症の症状を示すとされます。バセドウ眼症では、炎症やその他の免疫異常が目の周りの筋肉やその他の組織に影響を与え下記の症状が出現するとされます。眼科医と相談しないとわからないこともあります。必要に応じて眼科受診を勧めることもあります。

  • 眼の突出
  • 目のざらざらした感覚
  • 目の痛み
  • まぶたの腫れ
  • 目の発赤
  • 光過敏
  • 二重に見える
  • 視力低下および喪失

バセドウ皮膚症

バセドウ皮膚症と呼ばれる、すねや足の甲の皮膚の発赤と肥厚が見られることがあります。

 

原因

バセドウ病は、体の病気と戦う免疫系の機能異常によって引き起こされますが、詳細な原因は不明です。

通常、甲状腺機能は脳にある下垂体から放出されるホルモン(TSH)によって調節されています。バセドウ病に関連する抗体である甲状腺刺激ホルモン受容体抗体(TRAb)は、調節性下垂体ホルモンのように作用してしまい、正常な調節を無効にし、甲状腺ホルモンの過剰な産生(甲状腺機能亢進症)を引き起こします。

バセドウ眼症の原因

目の後ろの筋肉や組織に炎症を起こすことに起因しますが、その原因も不明です。甲状腺機能低下症をきたす橋本病も眼の症状を起こすことから、甲状腺機能障害を引き起こす抗体は目の周囲の組織に何らかの影響を持っている可能性があるようです。

眼症は、甲状腺機能亢進症と同時に、または数ヶ月後に現れることがよくあります。しかし、眼症の徴候や症状は、甲状腺機能亢進症の発症の前後数年で現れることもあります。また、眼症は、甲状腺機能亢進症がなくても発生する可能性がありますが、甲状腺機能を正常化させておくのが治療に有効とされます。

危険因子

次のような多くの要因が病気のリスクを高める可能性があります。

  • 家族歴:バセドウ病の家族歴は既知の危険因子です。
  • 性:女性は男性よりもバセドウ病を発症する可能性がはるかに高いです。
  • 年齢:バセドウ病は通常、40歳未満の人に発症します。
  • その他の自己免疫疾患:1型糖尿病や関節リウマチなど、免疫系の他病気を持つ人々はリスクが高くなります。
  • 感情的または肉体的ストレス:ストレスはバセドウ病の発症の引き金となる可能性があります。
  • 妊娠:妊娠または出産は、リスクを高める可能性があります。
  • 喫煙:免疫系に影響を与える可能性のある喫煙は、バセドウ病のリスクを高めます。バセドウ病を患っている喫煙者は、バセドウ眼症を発症するリスクも高くなります。

バセドウ病の治療

薬物(抗甲状腺薬)治療、放射性ヨウ素内用療法、手術の3つの治療法があり、最初に薬物治療を優先して行います。その後、症状の改善が乏しい場合に放射性ヨウ素内用療法や手術を行うことが一般的です。

①薬物療法

薬物療法(メルカゾールやチウラジール)は、最も簡便で外来でできるため、多くの場合に第1選択となります。近年はメルカゾールを第一選択薬として用います。欠点として、副作用(皮疹・肝機能障害・無顆粒球症など)が生じる可能性があることや、治療効果に個人差が大きく、一旦寛解(症状が一時的にでても消えたり、安定して薬を中止できること)しても再発率が高いことなどが挙げられます。薬物療法を2年以上継続しても薬を中止できる目途が立たない場合は、下記の治療法を検討します。

② 放射性ヨウ素内用療法

放射性ヨウ素内用療法は、安全で効果が確実であり、甲状腺の腫れも小さくなります。欠点としては、永続的な甲状腺機能低下症により甲状腺ホルモン薬の服用が必要になる場合があります。また、実施できる医療機関が限られていること、バセドウ病による眼の症状が悪化することがあること、小児や妊婦・授乳婦では行えないことなどが挙げられます。

③甲状腺摘除術

甲状腺摘出術は、最も早く確実に治療効果が得られます。欠点としては、再発がないように全摘除を行うと甲状腺ホルモン薬の服用が必要になります。他にも、入院が必ず必要であること、手術痕が残ること、手術合併症(反回神経麻痺、副甲状腺機能低下症など)が生じるリスクがあることなどがあります。

合併症

バセドウ病の合併症には以下が代表的です。

  • 妊娠と出産の問題:妊娠中のバセドウ病の考えられる合併症には、流産、早産、胎児の甲状腺機能障害、胎児の成長不良、母体の心不全、高血圧などを引き起こしえます。
  • 心不全:治療せずに放置すると、バセドウ病は心調律障害、心筋の構造と機能の変化、心臓が体に十分な血液を送り出すことができない(心不全)につながる可能性があります。
  • 甲状腺クリーゼ:まれですが生命を脅かす合併症です。。重度の甲状腺機能亢進症が未治療または不適切に治療されている場合に発生する可能性が高くなります。発熱、発汗、嘔吐、下痢、せん妄、重度の脱力感、発作、不整脈、黄色の皮膚と目(黄疸)、重度の低血圧、昏睡など、多くの影響を引き起こす可能性があります。直ちに救急医療を必要となり死亡することもあります。

  • 骨粗鬆症:骨の強度は、骨に含まれるカルシウムやその他のミネラルの量に依存します。甲状腺ホルモンが多すぎると、カルシウムを骨に取り込む体の能力が妨げられるため骨が脆くなります。
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