待ち時間について その1
ご通院の皆様には日頃より待ち時間が長くなり、ご迷惑をおかけしております。
待ち時間を少しでも短縮するということについて、現在考えている方針について皆様にお伝えいたします。
まず、そのうえで病院で待ち時間が発生するメカニズムにブログで何回かに分けてお話します。
なお、以下の記述は、患者様を待たせていることを正当化しているという記載ではありません。あくまで待ち時間を出来る限り短くして、診療の質を上げるための方法を考えるうえで待ち時間のメカニズムを記載していることを、読む前にご了承ください。
待ち時間が発生するメカニズムは大きく3つに分けられます。
1、医師・看護師・受付を含む医療者サイドの要因
2、患者サイドの要因
3、医療が抱えるハード面とソフト面、両方の機能的な要因
です。本日は1についてお伝えします。
医師や看護師の数が多くないため、検査をしたりすると時間がかかるというシンプルな要因です。
「3分診療」と日本の医療は言われ続け、これは非常に残念でありますが、現在も決して改善しているとは言い難い状況です。勿論3分でも大丈夫な患者様もいらっしゃいますが、3分で見切れない患者様の方が多いです。
しかし、今回の説明の仮定上、一人3分の診察であるとしましょう。
あるクリニックに受診した際に、前に待っている患者さんが10人いると受付で言われました。では、3分診療であれば30分後に呼ばれるかという事ですが、これは殆どの内科のクリニックで不可能です。
理由は以下の通りです。
ある患者様の診察が、3分で終わったとしましょう。そこで、処方箋を発行して、お会計に回したりします。漏れが無いようにチェックすることは、早くなってきても1分程度かかります。
また、医師サイドとしては気になる検査所見があり、患者様への質問が長くなってしまう事もあります。
それ以外にも、患者様の状態や検査所見によっては、追加の検査が必要になり、その検査について他のスタッフに要請して、再度患者様を呼び出ししたりします。検査によっては医師が行わないとならないものもありますので、その間に診察はストップします。
また、他院に紹介状が必要で記載していることや、患者様からの電話相談、他の病院や薬局からの電話の問い合わせもあります。
こうしているとあっという間におひとりの患者様に5分~10分くらいかかり、次の患者様との合間に数分以上かかることもあります。
待合室で待っている患者様にしてみたら、なぜ次なのに呼ばれないのか、医師や看護師は休んでいるのか?と思う方もいますが、そんなことは決してありません。
また病態に応じて早めに診なければならない患者様が来院することもあり、優先しなければならないこともあります。
そうすると、先ほどの患者様は1時間以上、時には2時間近く待たされるという事になります。
これが待ち時間の医療者サイドが発生要因となっているメカニズムになります。
正直に言うと、私達も患者様が多く待っていると焦ります。気持ちが急くこともありますが、ぐっと我慢して一人一人を丁寧に診る様に心掛けないと思わぬ見落としや事故が生じることがあります。
では、医療者サイドが発生要因となる待ち時間をを少しでも改善する方法は、
1、完全予約制にして診る患者数を制限する
2、診察時間を更に短くする
3、検査をしない
になります。
では、上記の様なクリニックに皆様が通院したいでしょうか?私ならご遠慮したいです。
1は一見魅力的ですが、「次の診察予約は半年後」などと言われる可能性もあります。急に体調が悪くなっても予約は取れないでしょう。
このように医療者サイドで生じる待ち時間発生のメカニズムを解消するのは、皆様にとって通院してもらいたいクリニックというのを実践するうえでは、難しいという事になります。これは残念ながらどんなに手を尽くしても難しく、医師や看護師が多くいる病院でも同じことが起こっています。
つまり、病院であろうがクリニックであろうが、待ち時間が発生している、医療者サイドの問題の根幹は一緒です。
明日、患者サイドの待ち時間の発生要因についてお伝えします。